優しい嘘

あなたのために
優しい嘘もつけない
こんなことなら初めから
傷付けないさよならもあったのに


二人の思い出は
もう届かないところへ
二人だけで見たもの
儚い沫になっていく

十分すぎたあなたの愛
苦しいくらい受け止めた
それでも来る終わりに
私の心は涙も声も受け止めきれずに


あなたのために
優しい嘘もつけない
こんなことなら初めから
傷付けないさよならもあったのに

岐路に立って
振り返ってみる道を
涙で歪んだまま見つめて
後にも先にも進めない気がした


次に会うとしたら
心も距離も離れて
消していた記憶だけが
静かに波打つでしょう


ごめんねと言えたら楽になる？
優しい嘘もつけないのに
あなたを思うとただ
私の考えなんて浅はかで卑怯で汚いの

偶然

夢を見たんだ

この広い世界で

偶然　君を見つける夢を


探して探して見つけたわけではないけれど

僕は神に感謝をしたいくらい

この偶然に喜んだんだ

好きだから

あなたから漂う空気感が好きだった

自然と受け入れてくれる温かさがあった

ちょうどいい温度
ちょうどいい距離感

好きだから望む
静かな時間

さよなら

感想はないわ
あなたの思う通りだろうから

嫌いでも好きでもないから
感情が持てないの

冷たいと思うかも知れないけど
私だけのせいじゃない

そうさせてしまった
私に触れてきた全てのものに
原因はあるの


冗談ではないから
もうそんな顔はしないで

あなた一人が悪いなら
その台詞も心に響くけど

答え合わせをする前に
背を向けた方が楽でしょう


さよなら
さよなら

三日月

置いてけぼりにされた風が強く鳴いて
木々の間をすり抜けていった


ざわざわと騒ぐ森も
夜になると沈黙を保つ

ここが静寂に包まれると
一際立つ三日月

美しい明るさの中に
恐ろしい艶がある

まるで貴女のようだ